新しい年に寄せて
その人は毎年、新年のお便りを大切に描いていました
素人くさい絵ながら
はじめは自分風な子を描いていたけれど
だんだん年を重ねていくうちに
どこか他人のような気持ちを抱きながら
夢のような世界を描いていました
なぜだか分からないけれど
そうしなきゃという想いにかられ
描いていたのです
最近ふと
きっとそれは奥のまた奥の方にいる
小さな自分自身なんだ
心底そう思えたとき
涙が止まりませんでした
その人が岩のような悲しみの壁で
自分を覆っていたとしても
構わずに
どんなときも楽しそうに歌いながら
美しい世界を見ていた子がいました
不思議な気持ちに掻き立てられ描いていたお便りを通して
毎年こうやってこの小さな純粋な子に再会していたのです
今ではいつもこの子がそばにいるって感じることができます
その笑い声が、歌声がくすぐったい
そんな幸せを噛みしめています
おや
どうやらこれから一緒に旅へと出かけるみたいですね
誰の中にもある純粋な柔らかい世界
この子のお友だちとつながる楽しい旅へ
“行ってきます!”